せんなん堂主人 日々の思うこと

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マーラー/交響曲第一番

せんなん堂です。

 

今回は、音楽の話をします。

グスタフ・マーラー(1860~1911)*1は、オーストリア出身の指揮者・作曲家です。

クラシックを好んで聴く人に、マーラーファンは多いように思います。

  マーラーの生涯を書いた本は数多くあり、また映画にもなっています。

マーラーと同時期に生きたフロイトのせいか、マーラーとそのの作品を精神分析して論じている書籍が多いように思います。

ただ、彼は、劇的というか、悩み続けた人生を送ったようです。

彼の作品は、「死」に対する恐怖みたいのが付きまとっているように見えます。

 

今回紹介する交響曲第一番は、1884年から1888年にかけて作曲、何回か改訂して最終稿を作り上げたとされています。

『巨人(Titan)』という標題が使われることもあります。

アバド(クラウディオ) ユニバーサル ミュージック 2015-05-20
 

マーラーの曲は長いものが多くて、私はじっとして聴いているのがつらくなるので、あまり聞かないのですが、この第一番は比較的短め(といっても小一時間ありますが)なので好きです。

 

中でも第4楽章がいいです。

第4楽章は、金管の力強いファンファーレで始まります。

その後、弦のパートも力強く入ってきますが、しばらくすると、それも消え、新たにゆっくりと穏やかに美しい旋律が流れてきます。

この部分がよいです。

その後、第一楽章で流れたフレーズが再び現れ、荒々しい部分が戻る、もう一度穏やかな旋律が入り、クライマックスへと流れ込み、華やかに終曲を迎えます。

 

 私は、アメリカに住んでいたことがあり、その時に、この曲をフィラデルフィアで聴きました。

「アメリカ5大オーケストラ」の一つ、フィラデルフィア管弦楽団定期演奏会で、当時の首席指揮者であったシャルル・デュトワの指揮によるものでした。

シャルル・デュトワは、N響で音楽監督を務めた指揮者ですが、彼は、フランスやロシアの曲を得意としている印象が強く、雰囲気の違うドイツ・オーストリアの曲をどのように指揮するのだろうと楽しみに聴いた記憶があります。

 

デュトワの指揮は当然素晴らしかったのですが、フィラデルフィア管弦楽団の”音”に驚きました。

これまでに聞いたことない”音”、複数の楽器から奏でられる音の集合ではなく、自然な一つの音が聴こえてきました。

感動しました。

そして、私の好きな第4楽章、この時は、あと数週間で帰国することなっていたのですが、アメリカであったことをいろいろ思い出しつつ、演奏のあまりの美しさに感動して、目が潤んできました。

 

マーラー交響曲第一番は、私の思い入れが強い曲の一つです。

 

最後に、アメリカでクラシック音楽のコンサートに行って驚いたことをひとつ。

なんと、アンコール曲が演奏されません。

アメリカ人は、会議でもそうなのですが、終わる時間に厳しいのです。

いくら始まりが遅れても、終わる時間は、on schedule です。

私の行ったコンサートのプログラムには、次のように書いてあります。

 ”This program runs approximately 2 hours, 5 minutes."

 (この演奏会は、約2時間5分行われます。)

 

終わる時間が5分単位で書かれているなんて!