井伊家の教え/井伊裕子
せんなん堂です。
前回に続いて、井伊直虎関連の本です。
今年のNHK大河ドラマの主人公が井伊直虎なので、書店で関連する本を目にすることが多いです。
著者の井伊裕子さんは、彦根藩 井伊家の方です。
最近話題になる井伊直虎や徳川四天王の直政、彦根藩の礎を気づいた直孝についてもの記述もありますが、著者が一番伝えたかったのは、桜田門外で暗殺された大老井伊直弼の真の姿です。
井伊掃部守直弼は、黒船出現で揺れた幕末の日本で大老を務めました。
黒船来航に象徴される、諸外国からの通商条約締結の圧力の中、勅許なしでアメリカとの条約調印を行い、その後政情安定を狙って、攘夷派を粛正する安政の大獄を行い、その後、水戸藩の過激な浪士たちにより暗殺されます。
歴史は勝者によって書かれるのが常で、明治政府による反幕府キャンペーンってのがあったでしょう、明治維新後、直弼は、勅許なしで開国した逆賊ということで、”悪者”とされました。
いまでも”悪者”という印象があるのではいでしょうか。
直弼の名誉回復のために、子孫、旧家臣が懸命に動いたことを聞いている著者は、茶人としての一面に言及しています。
直弼は本来は藩主になるはずはない立場だったそうです。
そのような境遇の中、茶の道を追求し、自ら流派まで立ち上げるほどだったそうです。
また、一般的にも使われますが、茶道に関する有名な四字熟語が、直弼の創作だそうで、これには驚きました。
私は、水戸で生まれましたが、小学校で、水戸市と彦根市は姉妹都市だ、と教わりました。
これは、桜田門外の変での実行犯(水戸藩浪士)と被害者(彦根藩主・井伊直弼)との遺恨を超えて仲良くなろうという意味がある、ようなことを聞いた覚えがあります。
また、井伊直弼の曾孫で、この本の著者の祖父に当たる井伊直愛(なおよし)は彦根市長を長く務めました。水戸市との姉妹都市締結時の彦根市長でした。
また、双子の弟井伊正弘は彦根城博物館の元館長でした。
私の小さいころ、彦根城博物館がTVで取り上げられたときか何かに、彦根市長と博物館館長が双子で、よく似ていたことが強く印象に残っていました。
今回紹介しました本には、現在は文化財となった家での暮らしや、彦根の街、彦根城などの記載まあります。
私も何回か彦根を訪れましたが、彦根城は美しい城だったという印象があります。
まったく同じ書名で、田原総一郎氏が書いた本もあります。
こちらは、まだ読んでいません。